あるいは現代のヘレン・ケラー | P log

あるいは現代のヘレン・ケラー

はじめは、全く思い出せなかった。
しだいに、「い」の位置や「か」の位置、そして「はかとた……」という並びを突然思い出した。
「ああ、『ぜん』っていうフレーズに困ったものだなあ」など、こまごまとしたことを思い出した。
後半あたりにさしかかって、意識せずとも指が勝手に動き出した。「いる」の並び、「そして」の並び、「から」の並びが、風のように頭の中をかけめぐった。
そして、指の痛みを思い出した。