月配列 | P log

月配列

「歴史」内でさらっと触れたものの今私が愛用している「月配列」についての解説が曖昧なので、もう一度どういった配列なのかをしつこいほどに押し付けようかと思います。

現在多くの人に使われている配列であるqwertyとjisかなですが、それぞれやはり長所と短所があります。
qwertyは、歴史の中でも触れたように、三段に収まっていて(一番上の数字の段を使わない)、指の動く範囲が狭いので楽に打てます。また、主に使うキーが少ないので、指や頭で覚えるのが比較的簡単だといえるでしょう。あと一つ利点として挙げられるのは、英語によって打つので、英字との切り替えでは他のカナ系配列に勝るといえるでしょう。数字も一緒に打てるのもそうですかね。
その反面、かな文字一つ押すのに二打かかる(たとえば「き」を「k,i」とするなど)ものがあるので打鍵数が㌧でしまうこと、また日本語用に考えられた配列ではないため、多少(ホームポジションでは)無理な運指も出てきます。なのでタイピングをやる人はよく聞くことになる「最適化」なるものが生まれるわけです。
一方jisかなは、一つ文字を打つと一つのカナが出てくるため、英字系配列に比べて打鍵数が㌧でもなく減ります。
しかし、最上段を使う(数字、記号を犠牲にしてまで!)ので指がありえないほど忙しく動きます。また配列自体も、よく使う文字が遠くに(個人的には、「ー」が一番端にあるのがめちゃくちゃ大変でした)あったりシフトを多用したり、何か考えてこの配列が出来たのかどうか疑問です。
まあ配列に一長一短というのはつき物ですが、それがうまく解決されたのがこの「月配列」です。
まず数字記号以外の文字を最上段以外の三段に収めます。しかしそれだと全てのキーを使ったとしてもかな文字を全て入れることはできません。親指シフト系のそれを親指に持ってきたりしていますが、これを解決するためのシフトは、かなり多用することになるので、親指にそれを当てるというのは他の指と構造が違うものにとって負担となりうると思います。
そこで月は、そのシフトの役割を「器用に動く」「最も長い」として中指に、そしてその中指が担うなかでも一番打ちやすいホームポジションの位置である「d」と「k」に置いたわけです。
そして、そのシフトキー以外のキーにはよく使うかな文字を、シフト+逆手のキーで、他の使わないキーを割り当てることによって省打鍵数、領域削減を実現したのです。
しかしこのシフト、小指で使う「押しながら」とは一味違います。プリフィクスなのです。
なんじゃそりゃ?という人はこちらを見てからだと幸せになれるかもしれません。
普通のシフトは押しながらですが、このプリフィクスシフトは、一回押して離したら「シフトしている状態」になるのです。で、そのあとに逆のキーを押したらシフトつきの文字が打たれて「シフト状態解除」となるわけです。たとえば、eの位置のシフトでは「ほ」が割り当てられていますが、それを打つためには、「ke」と入力すればいいわけです。何かに似てないか?
そう、これはまるでローマ字入力と似た感覚なのです。考え方を変えれば、子音のキーは全てシフト、「け」を打つためには、まずkを打ち、「カ行」という「シフト状態」になり、eを打つことによって「シフト状態解除」ということにもなるわけです。
考え方は多少複雑ですが、普段ローマ字うちをしている人は、考えずともそういう風に打っているのです。そしてその感覚がちゃんと身についているからこそそうやって打てるわけです。
つまりどういうことかというと、「よりローマ字打ちに近い感覚でカナが打てる」ということになります。なので、今までローマで培った技術が無駄にならないということです。乗り換えるのが比較的楽になっているということです。
昔ある人にも言われたのですが、一つ疑問が生じるはず。「一打、たまに二打使うということは、打鍵数はローマ字とあまり変わらないのでは?」と。
先ほど述べたように、月配列は「よく使うキーを一打、あまり頻繁に使わないキーを二打」としています。つまりこれで省打鍵数が実現するかしないかは、日本語において使われるかな文字がいかに偏っているかにかかっているのです。
どれだけ偏っているかを独自調査しました。(ここより↑にある文章を元に統計)
濁点半濁点一文字として、目立って多い順に、゛(全体の10.9%)、か(6.3%)、い(5.6%)、て(5.3%)、し(4.8%)、と(4.4%)、う(4.3%)、という結果になりました。
この七文字だけで、全体の41.6%も占めるのです。(ただしサンプルの正確性は保証しません。)
まあいかに日本語が偏ってひらがなを使っているかがわかればいいんですがね。実際、ある統計だとローマ字の74%にまで打鍵数を抑えたという情報もあります。
他にも、打ちにくい組み合わせ(たとえばzwやxqのようなもの)を減らしたり、一般的に下段より中段、上段のほうが打ちやすいといわれているので、その二段のほうが使用率が高いように作られていたり、利き手ではない左手は少なく、右手は多く使用するように作られていたりと、細かい打ちやすさにも考慮されていてとても打ちやすいです。
何よりもこんな長文を打っていてもちっとも疲れない!これはブロガーも注目です。ぜひおためしを!

これだけ書いたものの、こんなことはこことかこことか見ればもっと分かりやすくて簡潔な説明があるんだけどね…。まあ自分なりにまとめてみたかったわけです。